光学設計エンジニアがベンチャー企業へ転職するための応募書類作成戦略
技術革新を牽引するベンチャー企業が求めるエンジニア像
ARやVRといったメタバース関連技術、自動運転のカギを握るLiDAR、あるいは民間宇宙開発や次世代医療機器など、最先端のディープテック領域において光学設計エンジニアの需要が急増しています。こうした革新的なプロダクトを開発するベンチャー企業やスタートアップへの転職は、エンジニアにとって大きな裁量と成長のチャンスをもたらしますが、同時に大企業とは異なる資質が求められる場でもあります。ベンチャー企業では、整えられた開発環境や分業体制が十分に確立されていないことが多く、エンジニア一人ひとりが広範囲な業務をカバーし、自律的に動く「自走力」が不可欠です。そのため、書類選考を通過するためには、単に高い設計スキルを持っているだけでなく、不確実な状況下でも自ら課題を発見し、解決策を提示してプロジェクトを前に進める推進力があることをアピールする必要があります。応募書類では、指示待ちではなく主体的に動けるプロフェッショナルであることを、具体的なエピソードを交えて証明することが採用への第一歩となります。
最先端領域への技術的適応力と学習意欲の証明
ベンチャー企業が手掛ける製品は、既存の市場にはない新しい概念のものであることが多く、光学設計においても前例のない課題に直面するケースが少なくありません。例えば、ARグラスにおける導光板の効率化や、超小型カメラモジュールの熱対策、宇宙空間での放射線を考慮した硝材選定など、教科書通りの設計では対応できない難題です。職務経歴書を作成する際は、Zemax OpticStudioやCode Vといったツールの使用経験に加え、未知の領域に対してどのように情報を収集し、技術的な解を導き出したかというプロセスを重視して記述してください。これまでに経験したことのない波長帯域や特殊な光学素子(DOEやメタレンズなど)であっても、基礎となる物理法則に立ち返って理解し、実用化につなげた経験があれば、それは高い技術的適応力の証明になります。また、論文の調査や学会への参加、新しいシミュレーション手法の習得など、常に最新技術をキャッチアップしようとする学習意欲を具体的に記すことで、変化の激しいベンチャー環境でも進化し続けられる人材であることを印象付けてください。
専門外の領域もカバーする多能工としての立ち回り
大企業では光学、メカ、エレキ、ソフトと役割が明確に分担されていることが一般的ですが、リソースの限られたベンチャー企業では、光学設計エンジニアが周辺領域の業務を兼務することが日常茶飯事です。そのため、書類選考においては、光学設計という専門性を軸にしつつも、メカ設計や電気回路、画像処理といった隣接分野への知見や実務経験を持っていることが強力な差別化要因となります。応募書類では、レンズを保持する鏡筒の設計を行ったり、迷光対策のために筐体内部の構造を提案したり、あるいは評価用の治具を自作して実験を行ったりした経験を積極的に記述してください。また、サプライヤー選定や部品調達、コスト交渉といったエンジニアリング以外の業務に関わった経験も、ビジネス全体を俯瞰できる能力として高く評価されます。「自分の担当はここまで」と線を引かず、製品を完成させるために必要なことは何でもやるというスタンスを示すことで、組織にとって使い勝手の良い、頼れるコアメンバー候補として認識されます。
ゼロイチの立ち上げ経験と泥臭い試行錯誤のプロセス
ベンチャー企業の開発現場は、仕様書が存在しない「ゼロイチ(0→1)」のフェーズであることが多々あります。顧客や経営陣の抽象的な要望を具体的な光学仕様に落とし込み、実現可能性を検証する構想力が求められます。職務経歴書では、単に設計ツールで図面を引いた実績だけでなく、プロトタイプ(試作機)を作成し、実験と評価を繰り返して完成度を高めていったプロセスを詳細に記述してください。特に、シミュレーション通りにいかなかった際のトラブルシューティングは、エンジニアの実力を測る重要な指標です。製造公差や組み立て誤差、環境変動といった現実的な課題に対し、どのような仮説を立て、どのような実験で検証し、最終的にどう解決したかという泥臭い試行錯誤の物語は、綺麗な成功事例以上に採用担当者の心を動かします。理論だけでなく、実際に手を動かしてモノを作り上げることができる実践力を持っていることをアピールしてください。
企業のビジョンへの共感と事業成長への貢献意欲
最後に、ベンチャー企業への転職で最も重要なのが、その会社が目指す世界観やミッションへの共感です。多くのスタートアップは、技術を通じて社会課題を解決したり、新しいライフスタイルを創出したりすることを目的としています。志望動機においては、単に「最先端の技術に触れたい」「ストックオプションに魅力を感じる」といった利己的な理由ではなく、企業のビジョンに深く共鳴し、その実現のために自身の光学技術を使いたいという熱意を伝えてください。例えば、「御社のLiDAR技術で交通事故のない社会を作りたい」「革新的な医療機器を開発して人々の健康寿命を延ばしたい」といった、事業の社会的意義と自身のキャリアをリンクさせた動機は非常に説得力を持ちます。また、技術者としてだけでなく、事業を成長させる当事者意識を持ち、会社のステージに合わせて柔軟に役割を変えていく覚悟を示すことで、創業メンバーや経営陣と同じ視座で働けるパートナーとして迎え入れられる可能性が高まります。





