システム設計と基本設計の違いを理解して書類選考を突破する職務経歴書の書き方
曖昧な設計工程の定義を整理して正確なスキルを伝える重要性
ITエンジニアの転職活動において、職務経歴書の作成は自身のキャリアを正しく評価してもらうための最初の難関です。その中で多くのエンジニアが頭を悩ませるのが、「システム設計」と「基本設計」という言葉の使い分けです。開発現場や企業によってこれらの用語の定義は微妙に異なり、ある現場では同義として扱われたり、別の現場では明確に区別されていたりします。しかし、採用担当者や技術面接官に対して自分のスキルを正確に伝えるためには、この曖昧さを排除し、自分が担当した業務がいったい何であったのかを明確に定義して記述する必要があります。システム設計と基本設計の違いを正しく理解し、適切な用語で実績をアピールすることは、あなたのエンジニアとしての解像度の高さを示し、書類選考の通過率を大きく左右する要因となります。
ユーザー視点で機能を定義する基本設計の特徴とアピールポイント
基本設計は、別名「外部設計」とも呼ばれ、ユーザー(発注者)から見える部分の仕様を決定する工程を指します。具体的には、画面レイアウト(UI)、帳票デザイン、操作フロー、外部システムとのインターフェースなどがこれに該当します。このフェーズで重要なのは、「システムが何をすべきか」という機能要件を、ユーザーが理解できる形で具体化することです。職務経歴書で基本設計の経験をアピールする場合、単に「基本設計を担当」と書くのではなく、ユーザーとの折衝経験や業務フローの理解に基づいた提案力を強調することが効果的です。例えば、クライアントの業務課題をヒアリングし、それを使いやすい画面遷移として設計書に落とし込んだ経験や、プロトタイプを作成してユーザーと合意形成を図ったプロセスなどを記述します。ここでは、技術力以上に業務理解力やコミュニケーション能力、ドキュメント作成能力が高く評価されます。
システム全体の構造と実現手段を描くシステム設計の役割
一方、システム設計という言葉はより広義に使われることが多いですが、基本設計と対比させる場合は、システム全体のアーキテクチャや構造を決定するプロセス、あるいは基本設計で決まった機能をどのように技術的に実現するかを策定する「内部設計(詳細設計)」までを含む工程を指すことが一般的です。サーバー構成、ネットワーク構成、データベース設計、使用するフレームワークやミドルウェアの選定、モジュール分割、セキュリティ設計などがここに含まれます。システム設計の経験をアピールする際は、機能要件だけでなく、パフォーマンス、可用性、拡張性といった非機能要件をどのように担保したかという技術的な視点が重要になります。職務経歴書では、採用した技術選定の理由や、システム全体を俯瞰して最適化を行った経験、開発メンバーが実装しやすいように処理ロジックを詳細化した実績などを具体的に記述し、エンジニアとしての技術的な深みと全体構想力を証明してください。
成果物と役割を明記して用語の揺らぎによる誤解を防ぐ記述テクニック
前述の通り、システム設計と基本設計の境界線は企業によって曖昧です。そのため、応募書類において単に「システム設計経験あり」「基本設計経験あり」と用語だけで記述するのは、採用担当者に誤った認識を与えるリスクがあります。このリスクを回避するための最良の方法は、用語に頼らず、「何を作成したか(成果物)」と「何を決めたか(役割)」を具体的に記述することです。例えば、「基本設計(画面仕様書、帳票レイアウトの作成、画面遷移図の策定)」や、「システム設計(AWS構成図の作成、ER図によるデータベース論理設計、API仕様の策定)」といった具合に、カッコ書きで具体的な担当範囲を補足します。これにより、読み手はあなたのスキルレベルや経験した工程の深さを正確に把握することができ、ミスマッチのない適正な評価を下すことが可能になります。
キャリアパスに応じた戦略的な用語の使い分けと強調点
最後に、あなたが将来どのようなエンジニアを目指すかによって、システム設計と基本設計のどちらを強調すべきかが変わってきます。もしプロジェクトマネージャー(PM)や上流工程特化のSEを目指すのであれば、基本設計の経験を厚く記述し、ユーザーの要望をシステム仕様に落とし込む要件定義能力や折衝能力をアピールすべきです。一方で、ITアーキテクトやテックリード、フルスタックエンジニアを目指すのであれば、システム設計(特にアーキテクチャ設計や内部設計)の経験を強調し、技術的な難題を解決した実績や、堅牢で保守性の高いシステムを構築する能力をアピールするのが得策です。自身のキャリアビジョンと照らし合わせ、システム設計と基本設計という二つの切り口を戦略的に使い分けることで、希望するポジションへの採用をより確実なものにしてください。





