久しぶりの「小論文」に焦らない。看護師転職で頻出する4つのテーマと、800文字で合格ラインを超える書き方
「面接だけでなく、小論文(作文)があると聞いて頭が真っ白になった」
「看護学校の入試以来、まとまった文章なんて書いていない……」
大学病院や公立病院、あるいは特定の医療グループへの転職を目指す際、避けて通れないのが**「小論文(または作文)」**の試験です。
面接での受け答えは準備していても、書くことへの対策は後回しになりがち。試験当日にテーマを見て、「何を書けばいいの?」とフリーズしてしまう看護師さんは少なくありません。
しかし、採用側が小論文を課す理由は、あなたの文才や知識量を測るためではありません。
**「論理的に物事を伝えられるか」そして「あなたの看護観が当院とマッチしているか」**を確認したいだけなのです。
つまり、**「頻出テーマ」と「書き方の型」**さえ押さえておけば、小論文は決して怖いものではありません。
本記事では、看護師の中途採用試験で狙われやすいテーマの傾向と、誰でも合格ラインの文章が書ける構成テクニックについて解説します。
1.なぜ「小論文」を書かせるのか? 採用側の3つの狙い
対策を練る前に、敵(採点者)の視点を知りましょう。彼らはあなたの文章のどこを見ているのでしょうか。
- 論理的思考力(ロジカルシンキング)
- 話の筋道が通っているか。
- 「報告・連絡・相談」や「看護記録」を的確に書ける能力があるか。
- 看護観・人間性
- 経験に基づいた独自の考えを持っているか。
- 患者様に寄り添うマインドがあるか。
- 基本の読み書き能力
- 誤字脱字がないか。
- 丁寧な文字を書いているか(手書きの場合)。
2.ここから出る! 看護師転職・小論文の「頻出テーマ」4選
中途採用の小論文テーマは、奇をてらったものは出ません。以下の4つのカテゴリーのいずれか、または複合型がほとんどです。
① 【看護観・倫理観】最も多い王道テーマ
あなたの看護師としての「核」を問うものです。
- 「看護師として大切にしていること」
- 「あなたが考える『良い看護』とは」
- 「患者様の『QOL向上』のために看護師ができること」
- 「インフォームド・コンセントと看護師の役割」
② 【経験・実績】過去の振り返り
具体的なエピソードが求められるため、嘘がつけないテーマです。
- 「これまでの業務で最も印象に残っている患者様との関わり」
- 「インシデント(ヒヤリハット)から学んだこと」
- 「チーム医療において看護師が果たすべき役割」
- 「後輩指導で心がけていること」
③ 【キャリア・意欲】未来への展望
志望動機とリンクする内容です。
- 「当院を志望した理由と、入職後に取り組みたいこと」
- 「5年後、どのような看護師になっていたいか(キャリアプラン)」
- 「地域包括ケアシステムの中で当院が担う役割について」
④ 【時事問題・社会情勢】トレンドへの理解
管理職候補や、公立病院などで出やすいテーマです。
- 「災害医療における看護師の役割」
- 「感染症対策と看護」
- 「高齢化社会における在宅医療の課題」
3.迷ったらこれ! 誰でも書ける「3部構成」のテンプレート
いきなり書き始めると、途中で話が脱線してしまいます。
必ず**「序論・本論・結論」**の3つのブロックに分けて構成を練ってから書き始めましょう。
例えば、テーマが**「看護師として大切にしていること」**の場合の構成例です。
【序論】結論をズバリ言う(全体の10〜15%)
- 書き出し:「私が看護師として最も大切にしていることは、『患者様の声なき声に気づく観察力』です。」※最初に結論を言い切ることで、読み手に安心感を与えます。
【本論】具体的なエピソード・理由(全体の70〜80%)
- 展開:「以前、整形外科病棟で勤務していた際、ある高齢の患者様が……(具体的な体験談)。痛みを訴えない方でしたが、表情の違和感から早期に異変を発見し、医師に報告したことで大事に至らなかった経験があります。この経験から、バイタルサインなどの数値だけでなく、患者様の表情や生活背景まで観察することの重要性を学びました。」※「体験談」を入れることで、あなただけのオリジナリティが出ます。
【結論】まとめ・抱負(全体の10〜15%)
- 結び:「以上の経験から、私は『気づく力』こそが安全で質の高い看護の第一歩であると考えます。貴院においても、常に患者様の変化に敏感であり続け、信頼される看護を提供していきたいと考えています。」※最後は必ず「貴院でどう活かすか」で締めくくります。
4.減点を防ぐ! 最低限守るべき「書き方のルール」
内容は良くても、ルール違反があると減点対象になります。
- 文体の統一
- 「だ・である」調: 小論文の基本。論理的な印象を与えます。
- 「です・ます」調: 作文(エッセイ)形式の場合はこちらでもOK。柔らかい印象になります。
- 注意点: どちらかに統一し、絶対に混ぜないこと。
- 文字数の目安
- 指定文字数(例:800字)の8割以上は必ず埋めましょう(640字以上)。
- 逆に、指定文字数を超過するのもNGです。9割〜9.5割に収めるのがベストです。
- 誤字脱字・略語
- 「pt(患者)」「Dr(医師)」「エビデンス」などの略語やカタカナ語は避け、正式名称(患者様、医師、科学的根拠)を使いましょう。
- 段落を変える
- 読みやすくするために、序論・本論・結論の変わり目で改行し、一字下げて書き始めましょう。
5.まとめ:小論文は「文章力」ではなく「準備力」
看護師の転職試験における小論文は、作家のような名文を書く必要はありません。
- 頻出テーマ(特に看護観)について、自分の考えを整理しておく。
- それを裏付ける「過去のエピソード」を1つ用意しておく。
- 「序論・本論・結論」の型に当てはめて書く。
この3つの準備さえできていれば、どんなテーマが出されても、落ち着いて合格ラインの文章を書くことができます。
小論文は、あなたの**「看護への真摯な姿勢」**を伝えるための、もう一つのラブレターです。
難しく考えすぎず、あなたの経験と言葉で、誠実に想いを綴ってください。





