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「県外への転職」は不利じゃない。看護師免許の変更手続きから、採用される“志望動機”の書き方まで徹底解説

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「結婚を機に、パートナーの転勤先である県外へ転職することになった」

「ずっと憧れていたあの街で、心機一転、看護師として働きたい」

県外への転職(Iターン・Uターン)は、通常の転職活動に比べて「引っ越し」という大きなイベントが加わるため、不安要素が倍増します。

特に書類選考においては、採用担当者に**「本当に引っ越してくるのか?」「土地勘がないのに続けられるのか?」**という懸念を持たれやすく、地元の応募者に比べて不利になりがちです。

しかし、手続きの段取り応募書類での伝え方さえ間違えなければ、県外からの応募者は「行動力がある」「覚悟が決まっている」として高く評価されます。

本記事では、県外転職に必要な「行政手続き」の基礎知識と、距離のハンデを覆して書類選考を突破するための「書き方の極意」について解説します。


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1.まずは整理。県外転職で必要な「2つの手続き」

県外へ転職する場合、職場が変わるだけでなく、住居や行政上の管轄も変わります。看護師として働くために必要な手続きを確認しましょう。

① 看護師免許証の「籍訂正・書換え」が必要なケース

引っ越しをするだけでは、免許証の手続きは不要です。

手続きが必要になるのは、「本籍地(都道府県)」または「氏名」が変わる場合のみです。

  • 単なる転居(住所変更のみ): 手続き不要。
  • 結婚等で「名字」が変わる場合: 必要(変更後30日以内)。
  • 結婚等で「本籍地」が別の県になる場合: 必要(変更後30日以内)。

※手続き先は、就業地(働く病院)を管轄する保健所です。転職と同時にこれらが発生する場合は、新しい職場で相談しながら進めるのがスムーズです。

② 看護協会への「移動」手続き

都道府県の看護協会に入会している場合、県をまたぐ転居に伴い**「他県移動」**の手続きが必要です。

これは免許証とは別で、会員資格の継続や、賠償責任保険(看護職賠償責任保険)の適用に関わるため、忘れないようにしましょう。会員専用サイト(キャリナースなど)からWeb上で手続き可能な場合が多いです。


2.「いつ来るの?」 書類選考を突破するスケジュールの書き方

県外からの応募者が書類選考で落とされる最大の理由は、**「入職可能日が読めない」**ことです。

「内定が出たら引っ越します」という曖昧なスタンスでは、病院側は計画が立てられず不採用にします。

履歴書の「本人希望欄」や「備考欄」を使い、以下の情報を具体的すぎるくらい明確に書いてください。

書類に明記すべき3つの「日付」

  1. 転居予定時期
    • 「〇月中旬に転居予定(物件内見済み)」など、具体的に書きます。
  2. 面接可能日
    • 「〇月〇日〜〇日の間で現地へ向かえます」や「一次面接はWebを希望します」など。
  3. 入職可能日
    • 「引っ越し完了後の〇月1日より勤務可能です」

【記述例:本人希望欄】

「夫の転勤に伴い、10月中旬に貴院の近隣エリア(〇〇市)へ転居いたします。

現在、退職交渉は完了しており、11月1日より入職可能です。

面接につきましては、転居前の現在はオンラインを希望いたしますが、最終面接等は貴院へ伺うことが可能です。」

これだけで、採用担当者の「物理的な距離への不安」は解消されます。


3.「なぜわざわざ県外から?」 志望動機のロジック構成

地元の看護師ではなく、あえて県外のあなたを採用する理由。それを志望動機で説明する必要があります。

理由は大きく分けて「やむを得ない事情(転勤・結婚)」と「自らの意思(Iターン)」の2パターンあります。

パターンA:パートナーの転勤・結婚(消極的理由)

「夫の転勤で仕方なく」という雰囲気を出してはいけません。

**「転居が決まり、その土地で長く働ける病院を探した結果、貴院がベストだった」**という構成にします。

【例文】

「結婚に伴い、〇〇県への転居が決まりました。新生活を始めるにあたり、地域医療に深く根ざし、訪問看護ステーションとも密に連携されている貴院であれば、私がこれまで培ってきた在宅支援の経験を活かし、腰を据えて長く貢献できると考え志望いたしました。」

ポイント:

「転居」はあくまできっかけ。「貴院を選んだ理由」をメインに語ることで、熱意を伝えます。

パターンB:その土地や病院への憧れ(積極的理由)

「自然豊かな場所で暮らしたい」などのライフスタイル重視の理由は、そのまま書くと「遊び気分」と思われるリスクがあります。

**「その土地で求められている医療」**に貢献したいというプロ意識へ変換します。

【例文】

「以前より、高齢化先進地域である貴県の地域包括ケアシステムに関心を抱いておりました。都内の急性期病院で培ったスキルを、医療資源が限られた地域医療の現場で活かし、患者様が住み慣れた地域で最期まで暮らせる看護の実践に挑戦したいと強く願い、転居を決意いたしました。」


4.県外転職ならではの「お金」と「面接」の工夫

「赴任旅費(引越し手当)」を確認する

病院によっては、県外からの入職者に対して「引越し費用」や「赴任旅費」を支給してくれるケースがあります。

ただし、これは求人票に小さく書かれていることが多いため、見落とさないようにしましょう。

※書類選考の段階で「引越し代は出ますか?」と聞くのはNGです。内定後の条件確認の際に尋ねましょう。

面接は「まとめ打ち」か「Web」を活用する

交通費と時間を節約するため、書類選考通過後の面接日程調整には戦略が必要です。

  • Web面接の打診:「遠方のため、一次面接はWebでお願いできませんでしょうか?」と相談するのは失礼ではありません。
  • 日程のまとめ打ち:もし現地に行くなら、有給休暇を使って2〜3日滞在し、複数の病院の面接や物件探しをまとめて行うのが効率的です。応募書類を送るタイミングを調整し、面接時期を重ねるテクニックも有効です。

5.まとめ:距離の壁は「情報の密度」で越えられる

県外への転職は、採用担当者にとっても「本当に来てくれるかな?」というリスクを伴うものです。

だからこそ、応募書類には、通常の転職以上に**「具体的な計画(いつ、どこに住み、いつから働けるか)」**を盛り込む必要があります。

「遠いから不利」なのではありません。「情報が少ないから不安」なだけです。

  • 免許等の手続きの知識があること
  • 転居のスケジュールが確定していること
  • その土地で骨を埋める覚悟があること

この3点を書類でしっかりとプレゼンできれば、あなたは「わざわざ遠くから来てくれる貴重な人材」として歓迎されるはずです。

新しい土地でのスタートラインに立つために、まずは「安心感」のある書類作成から始めましょう。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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