「特別な才能」はいらない。看護師の転職で採用担当者が本当に見たい「長所」の書き方と例文集

「履歴書の『長所』欄、何を書けばいいのかペンが止まる」

「『明るい』『真面目』くらいしか思いつかないけれど、これだと小学生みたい？」

いざ自分の長所を書こうとすると、「人より優れたすごい能力」を書かなければならないと考え込み、自信をなくしてしまう看護師さんは少なくありません。

しかし、採用担当者が求めているのは、華々しい実績や特殊能力ではありません。

彼らが見たいのは、あなたが**「看護師という過酷な現場で、どのようにチームに貢献し、患者様と向き合える人物か」という「人柄の再現性」**です。

本記事では、特別なスキルがなくても大丈夫な「長所の見つけ方」と、採用担当者の心を掴むための具体的な例文パターンを解説します。

１．看護師の採用で「評価される長所」の3大トレンド

看護師の転職市場において、好まれる長所には明確な傾向があります。

病院という組織は「チーム医療」であり「ミスが許されない現場」であるため、以下の3つの要素を含む長所は、どの病院でも鉄板で評価されます。

1. 協調性・柔軟性
   • 多くのスタッフと連携し、急な予定変更にも対応できる力。
   • 言い換えキーワード：「チームワークを大切にする」「状況判断ができる」「素直さ」
2. 責任感・誠実さ
   • 決められた業務を最後までやり遂げ、嘘をつかない姿勢。
   • 言い換えキーワード：「粘り強い」「几帳面」「約束を守る」
3. コミュニケーション能力・傾聴力
   • 患者様の不安を汲み取り、医師や多職種へ正確に伝える力。
   • 言い換えキーワード：「聞き上手」「観察力がある」「親しみやすい」

もし迷ったら、この3つのカテゴリーのどれかに自分の性格を当てはめてみましょう。

２．「当たり前」を武器に変える。長所の例文カタログ【タイプ別】

「私の長所なんて思いつかない」という方のために、よくある性格タイプを「看護師としての強み」に変換した例文を紹介します。

そのまま使うのではなく、自分のエピソードを少し加えるだけで、あなただけのオリジナルな長所になります。

タイプA：地味だけどコツコツ頑張れる人（責任感・継続力）

派手さはなくても、医療安全を守る上で最も重要な資質です。

【長所：粘り強さ・継続力】

「私の長所は、一度決めたことを最後までやり遂げる『粘り強さ』です。

前職の病棟では、多忙な業務の中でも『患者様の足浴を毎日行う』という目標を立て、1年間欠かさず継続しました。派手な成果ではありませんが、日々の小さなケアの積み重ねが患者様の信頼と安楽に繋がると信じています。貴院においても、一つひとつの業務を疎かにせず、誠実に取り組みたいと思います。」

タイプB：周りの空気を読んで動ける人（協調性・観察力）

チーム医療の現場では、潤滑油となる人材として重宝されます。

【長所：協調性・状況把握力】

「私の長所は、周囲の状況を見て自ら動ける『協調性』です。

チーム全体の業務が滞らないよう、常に他のスタッフの動きを観察し、ナースコール対応や処置の準備などを先回りして行うことを心がけています。また、新人や後輩が困っている様子があればすぐに声をかけ、チーム全体でフォローし合える雰囲気作りを大切にしています。」

タイプC：誰とでもすぐに仲良くなれる人（コミュニケーション・明るさ）

患者様の精神的なケアや、職場の雰囲気を明るくするムードメーカーとして評価されます。

【長所：親しみやすさ・傾聴力】

「私の長所は、初対面の方ともすぐに打ち解けられる『親しみやすさ』です。

緊張されている患者様の不安を和らげるため、まずは笑顔での挨拶と、否定せずに話を聞く『傾聴』を徹底しています。『あなたと話すと元気になる』と言っていただくことも多く、貴院においても、患者様が些細なことでも相談しやすい環境を作りたいと考えています。」

タイプD：テキパキ動くのが好きな人（行動力・判断力）

急性期や救急など、スピード感が求められる現場で好まれます。

【長所：行動力・判断の早さ】

「私の長所は、やるべきことを即座に実行に移す『行動力』です。

急変時や多重課題の場面でも、優先順位を瞬時に判断し、迷わず行動に移すことができます。もちろん、独断にならぬよう『報告・連絡・相談』は徹底しつつ、チームの業務効率を高めるための原動力として貢献したいと考えています。」

３．「長所」だけ書くのはNG。説得力を生む「エピソード」の魔法

履歴書の長所欄でよくある失敗が、「私は責任感が強いです」の一言だけで終わらせてしまうことです。これでは採用担当者は「本当かな？」と思います。

長所には必ず、**「その長所が発揮された具体的なエピソード」**をセットで添えてください。

• 悪い例:「長所：明るいところです。」
• 良い例（エピソード付き）:「長所：どんな時でも笑顔を絶やさない明るさです。（エピソード） 前職で緩和ケアに携わった際、精神的に落ち込まれる患者様に対し、毎日明るく挨拶を続けました。その結果、徐々に心を開いてくださり、最期まで穏やかな時間を共有することができました。（結び） 貴院でも、この明るさで患者様とスタッフの架け橋になりたいです。」

このように**「長所（結論）」＋「具体的なエピソード（根拠）」＋「貴院での活かし方（未来）」**の3段構成にすることで、説得力は格段に上がります。

４．短所との「矛盾」に注意しよう

長所を書く際に気をつけたいのが、同時に記載する「短所」との整合性です。

ここが矛盾していると、人物像がブレてしまい、嘘をついているように見えてしまいます。

• NGパターン:
  • 長所：「慎重でミスがない」
  • 短所：「おっちょこちょいですぐ忘れる」
  • 判定: どっちが本当なの？ と不信感を持たれます。

長所と短所は**「表裏一体」**になるように意識しましょう。

（例：長所が「慎重」なら、短所は「考えすぎて時間がかかることがある」など）

５．まとめ：長所は、あなたが「大切にしている看護観」そのもの

採用担当者にとって、長所欄は「自慢話」を聞く場所ではありません。

あなたが仕事をする上で**「何を大切にしているか」、そして「どんなスタンスで働いてくれるか」**を確認する場所です。

「特別なことは何もしていない」と思うような毎日の業務の中にこそ、あなたの長所は隠れています。

「患者さんの話をよく聞いたな」「頼まれた仕事は断らなかったな」「いつも整理整頓していたな」。

そんな小さな習慣を拾い上げ、自信を持って「私の長所です」と伝えてください。それが採用担当者にとって、最も信頼できるアピールになるはずです。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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