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35歳は看護師キャリアの「最大の分岐点」。経験を安売りせず、理想の働き方を手に入れるための書類選考突破戦略

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看護師として働き始めて10年以上が経過し、現場のリーダーや教育担当も一通り経験した35歳。「今の病院で師長を目指すのか」「専門性を極めるのか」、それとも「家庭との両立を優先して働き方を変えるのか」。35歳は、今後の看護師人生を決定づける大きな分岐点です。

転職市場において、35歳の看護師は「即戦力」として非常に高い需要があります。しかし、20代のような「ポテンシャル採用」は期待できず、40代のような「管理職採用」にはまだ少し早いという、難しい立ち位置でもあります。そのため、応募書類でアピールすべきポイントがずれていると、「扱いにくい」「給与が高い割にメリットがない」と判断され、書類選考で落とされてしまうことも少なくありません。

本記事では、35歳という年齢を最大の武器に変え、採用担当者に「この人に来てほしい」と思わせるための、大人の応募書類作成術について解説します。

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1.35歳看護師に求められる「3つの役割」を理解する

採用担当者が35歳の応募者に期待しているのは、単なる「業務遂行能力」ではありません。採血や点滴ができるのは当たり前です。書類選考を突破するためには、以下の3つの要素を職務経歴書に盛り込む必要があります。

  1. プレイングマネージャーとしての能力現場業務をこなしながら、後輩への指示出しや医師との調整、トラブル対応を円滑に行える「調整力」です。
  2. 教育・指導スキル新人や中途採用者の教育係として、マニュアル作成やメンタルフォローを行った実績は大きな加点要素になります。
  3. 組織課題へのコミット「委員会活動で残業時間を削減した」「業務改善提案を行った」など、組織全体を良くするために動いた経験が評価されます。

2.「何でも屋」にならない職務経歴書の書き方

経験が長くなると、様々な診療科や委員会を経験し、職務経歴書が「やったことの羅列」になりがちです。しかし、それでは「何でもできるけど、強みが分からない人(器用貧乏)」と見なされてしまいます。

35歳の職務経歴書は、**「自分の強み(タグ)」**を明確にして構成してください。

ケースA:ジェネラリスト(幅広い経験)を売りにする場合

複数の科を経験してきた方は、「対応力」をアピールします。

  • 見出し例: 【救急から慢性期まで幅広い病期に対応できるアセスメント力】
  • 内容: 「外科、内科、救急外来での経験を通じて、急変時のトリアージから退院支援まで、患者様のフェーズに合わせた最適な看護を提供できます。」

ケースB:マネジメント(リーダー経験)を売りにする場合

役職についていなくても、リーダー業務の経験があれば強調します。

  • 見出し例: 【多職種連携を円滑にするチームマネジメント力】
  • 内容: 「5年間、病棟のリーダー業務に従事。医師、リハビリスタッフ、MSWとのカンファレンスを主導し、在宅復帰率を〇%向上させました。」

3.最大の懸念点「扱いづらさ」を払拭する自己PR

採用担当者が35歳の転職者に対して抱く最大の懸念は、「前の病院のやり方に固執するのではないか」「プライドが高くて指導しにくいのではないか」という点です。

これを払拭するために、自己PRには必ず**「柔軟性(アンラーニング)」**の要素を入れてください。

<自己PRの例文>

「私の強みは、経験に固執しない柔軟な適応力です。

これまでの12年間で培った知識や技術はありますが、病院ごとに最適な手順やルールがあることを理解しております。貴院に入職した際は、まずは貴院のやり方を素直に学び、吸収することに専念します。その上で、慣れてきた段階でこれまでの経験を活かし、業務改善などの提案で貢献できればと考えております。」

このように、「まずは郷に従います」という謙虚な姿勢を見せるだけで、採用担当者の警戒心は一気に解け、合格率は跳ね上がります。

4.結婚・出産・育児。ライフステージの変化をどう書くか

35歳は、子育て中の人、これから結婚・出産を考える人など、ライフスタイルが多様化する時期です。「子供がいると不利になるか」と悩む方も多いですが、隠す必要はありません。重要なのは**「プロとしての対策」**を伝えることです。

子育て中の場合

「子供がいるので残業できません」とだけ書くのはNGです。「権利」を主張するのではなく、「どう工夫するか」を書きます。

「現在小学生の子供がおりますが、ファミリーサポートや病児保育を活用し、急な呼び出しにも対応できる体制を整えています。限られた時間内ではありますが、密度濃く業務に集中し、チームに貢献したいと考えております。」

夜勤ができない場合

「夜勤不可」とする場合は、その分、日勤帯でどのような貢献ができるかを補足します。

「委員会活動や後輩指導、また繁忙時の残業対応など、日勤帯における組織運営には人一倍貢献する所存です。」

5.「年収ダウン」を防ぐための書類テクニック

35歳の転職で怖いのが、経験年数がリセットされて基本給が下がることです。これを防ぐためには、職務経歴書で**「あなたの経験が病院に利益をもたらすこと」**を証明しなくてはなりません。

  • 認定看護師などの資格: あれば必ず目立つ場所に記載。
  • 具体的な数値実績: 「病床稼働率の向上に貢献」「指導した新人〇名の離職ゼロ」など、数字で成果を示します。

これらが書かれていれば、病院側も「この経験値なら、規定より高い給与テーブルで迎えるべきだ」と判断しやすくなります。

35歳の転職は、これまでのキャリアの集大成であり、これからの人生の基盤を作る重要なイベントです。「もう35歳」と悲観するのではなく、「経験豊富な35歳だからこそできる貢献」を堂々とアピールしてください。大人の余裕と謙虚さを兼ね備えた書類があれば、あなたが望む働き方は必ず手に入ります。

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キャリアアドバイザー
人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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