2回目の看護師転職は「不利」ではない。失敗経験を武器に変え、3つ目の職場で理想を叶えるための書類作成ロードマップ
「初めての転職で失敗してしまった」「また辞めることになって、経歴に傷がつかないか不安」
看護師として2回目の転職(3つ目の職場探し)を目前にして、1回目の時よりも慎重になり、あるいは自信を失っている方は少なくありません。「転職回数が多いと不利になる」という通説が頭をよぎり、応募書類の作成に筆が止まってしまうこともあるでしょう。
しかし、転職市場において「2回目の転職」は、決してネガティブな要素だけではありません。むしろ、複数の現場を知り、自分の適性を理解し始めた今のあなたこそ、採用担当者が求める「定着してくれる即戦力」になり得るのです。本記事では、2回目の転職を「キャリアの迷走」ではなく「キャリアの確立」にするための、戦略的な応募書類の作成術について解説します。
1.採用担当者は「2回目」のあなたをどう見ているか
まず、敵を知ることから始めましょう。採用担当者は、2回目の転職者に以下のような「懸念」と「期待」の両方を抱いています。
採用担当者の「懸念」:定着性への不安
「1回目も辞めて、今回も辞めた。うちに来てもまた何か理由をつけて辞めるのではないか?」
これが最大の懸念点です。特に、1回目の転職から短期間(1年未満など)での再転職である場合、この警戒心は強くなります。
採用担当者の「期待」:比較能力と即戦力性
一方で、「2つの病院を知っている」ことは強みでもあります。
「前の病院と比較して、うちの良さを理解してくれそう」「複数のやり方を知っているから、柔軟に対応できそう」という期待もあります。新卒や初めての転職者にはない「比較検討する目」を持っていることが、2回目の転職者の武器です。
書類選考を突破するためには、「懸念(すぐ辞めるかも)」を論理的に打ち消し、「期待(即戦力)」を最大化させる書き方をする必要があります。
2.バラバラな経歴を「一本の線」で繋ぐストーリー作り
2回目の転職で最も重要なのが、これまでの経歴(1ヶ所目、2ヶ所目)と、これからの希望(3ヶ所目)に「一貫性」を持たせることです。
もし、1ヶ所目が「急性期」、2ヶ所目が「美容クリニック」、そして今回応募するのが「訪問看護」だとしたら、採用担当者は「軸がブレている(飽きっぽい)」と感じます。しかし、書き方一つでこれをポジティブなストーリーに変えることができます。
<一貫性を持たせる書き換え例>
- 【事実】 急性期 → 美容(早期退職) → 訪問看護
- 【ストーリー化】「新卒では急性期で全身管理を学びました。その後、患者様のQOL向上に関心を持ち美容へ進みましたが、外見へのアプローチだけでなく、生活そのものを支える看護がしたいと再認識しました。これら『全身管理スキル』と『サービス精神(接遇)』の両方を活かせる場として、訪問看護こそが私の目指す看護の形であると確信しました。」
このように、過去の選択が「間違い」だったのではなく、**「今回の結論(応募先)に辿り着くために必要なプロセスだった」**と定義づけることが重要です。
3.1回目の「失敗」をどう説明するか?退職理由のポジティブ変換
2回目の転職理由として多いのが、「1回目の転職先がブラックだった」「思っていたのと違った」というミスマッチです。これを正直に「失敗でした」と書くと、情報収集能力不足を露呈することになります。
ネガティブな理由は、以下のように「前向きな学び」に変換して伝えてください。
- 人間関係や教育体制が悪かった場合
- NG: 「人間関係が複雑で、教育も放置されていたため。」
- OK: 「前職では個人の業務遂行力が重視される環境でしたが、私はチームでの連携こそが医療安全に不可欠であると痛感しました。貴院の『チーム医療』の理念に強く共感し、周囲と協力し合える環境で長く貢献したいと考えました。」
- 給与や条件が合わなかった場合
- NG: 「残業が多く、割に合わなかったため。」
- OK: 「前職での経験を通じて、自身のワークライフバランスを整えることが、結果として患者様への質の高い看護に繋がると学びました。貴院の整った勤務体制のもとで、心身ともに万全の状態で業務に集中したいと考えております。」
「前の病院が嫌だから」ではなく、**「より良く働くための条件が明確になったから」**というスタンスで書くのが正解です。
4.3つ目の職場こそ「長く続く」と信じさせる志望動機
2回目の転職活動における志望動機は、「なぜ貴院か」に加えて、**「なぜ今度は辞めないと言い切れるのか」**という根拠が必要です。
<志望動機の構成テンプレート>
- 経験の棚卸し: 「これまで〇〇と△△を経験し、看護師としての基礎と応用力を身につけました。」
- 転職の動機: 「その中で、自分が生涯をかけて取り組みたい看護が『××(応募先の領域)』であると明確になりました。」
- 貴院である理由: 「数ある病院の中でも、貴院の〇〇という取り組みは、私の目指す看護そのものです。」
- 定着の誓い: 「これまでの経験を活かし、貴院を看護師人生の長期的な拠点として、腰を据えて貢献いたします。」
「比較検討した結果、ここがベストだった」という結論を示すことで、採用担当者に「もう迷わない」という覚悟が伝わります。
5.2回目の転職は「キャリアの修正」ができる最後のチャンス
20代〜30代前半での「2回目の転職」は、看護師としてのキャリアを軌道修正する絶好の機会です。3回、4回と回数が増えるにつれて、書類選考のハードルは上がっていきます。だからこそ、今回の応募書類作成は、手を抜かずに戦略的に行う必要があります。
「失敗したくない」という不安を、「失敗から学んだ」という自信に変えてください。2つの現場を知っているあなただからこそ書ける、深みのある応募書類があれば、3つ目の職場は必ず理想の場所になります。





