グラフィックデザイナーの転職を成功させる職務経歴書の書き方と採用に響くサンプル

グラフィックデザイナーの転職活動においてポートフォリオが最重要視されることは間違いありませんが職務経歴書の質も合否を左右する大きな要素です。採用担当者はポートフォリオでデザインのクオリティを確認し職務経歴書でそのデザインを生み出すためのプロセスやビジネススキルを確認しています。単に制作実績を羅列するだけでは不十分でありクライアントの課題をどのように解決したかやチーム内でどのような役割を果たしたかを論理的に伝える必要があります。本記事ではグラフィックデザイナーが書類選考を通過するために押さえておくべき職務経歴書の書き方と働き方に合わせた具体的な記述サンプルについて解説します。

採用担当者が職務経歴書で確認している評価ポイント

グラフィックデザイナーの採用選考において企業側が職務経歴書で最も知りたい情報はデザインスキル以外の実務能力です。具体的には制作スピードや正確性およびコミュニケーション能力です。またデザインをビジネスの課題解決手段として捉えているかどうかも重要な視点です。単にかっこいいものを作れるだけでなくターゲット層に合わせたデザイン提案ができるかや予算やスケジュールの制約の中で最大限の成果を出せるかが見られています。したがって職務経歴書では制作環境や使用ツールといったハードスキルに加えクライアント折衝や進行管理といったソフトスキルについても具体的に記述することで即戦力としての価値を証明します。

職務要約で伝えるべき得意分野とデザイン領域

職務経歴書の冒頭に位置する職務要約はあなたのデザイナーとしてのキャリアを一目で理解してもらうための重要なセクションです。ここでは経験年数とともに主に対応してきた媒体の種類や得意とするジャンルを簡潔な文章でまとめます。例えば広告制作会社にて5年間グラフィックデザイナーとして従事し主に化粧品メーカーやアパレルブランドの販促ツール制作を担当しましたと記述します。これに加えてエディトリアルデザインが得意なのか広告ビジュアルの作成が得意なのかといった専門性を明記します。またアートディレクションの経験や撮影ディレクションの経験があれば要約に盛り込み企画段階から携われる人材であることをアピールします。

制作会社および広告代理店出身者の職務経歴書サンプル

制作会社や広告代理店での勤務経験がある場合はクライアントワークの実績と幅広い対応力を強調します。業務内容の詳細記述においてはプロジェクト単位で担当した案件を記述します。例えば大手飲料メーカーの新商品キャンペーンにおけるポスターおよび店頭ＰＯＰの制作と具体的な媒体名を挙げます。自身の役割についてはメインデザイナーとしてビジュアルコンセプトの立案から入稿データの作成までを担当しましたと記述します。実績についてはクライアントからの評価や成果を数字で示します。例えばコンペティションにおいて3社の中から採用され商品売上の昨対比120パーセント達成に貢献しましたといった記述はデザインの力がビジネスに寄与したことを証明する強力な材料となります。

インハウスデザイナーおよび事業会社出身者の記述サンプル

企業の広報部やマーケティング部に所属するインハウスデザイナーの場合は社内調整能力と事業貢献への意識をアピールします。記述例としては自社ＥＣサイトの特集ページ作成およびＳＮＳ用バナー制作を担当しブランドトンマナの管理を行いましたと役割を定義します。インハウスの場合は制作物の効果測定がしやすい環境にあるためクリック率やコンバージョン率などの具体的な数字を用いて成果を記述します。例えばバナーデザインのＡＢテストを繰り返し実施することでＣＴＲを平均1パーセントから2パーセントへ改善しましたと書きます。また他部署からの急な依頼に対するスケジュール調整や外注先へのディレクション業務についても記述しプロジェクトマネジメント能力があることを示します。

使用アプリケーションと制作環境の具体的な記述方法

グラフィックデザイナーにとって使用するツールやＯＳ環境は実務に直結する必須情報です。職務経歴書には使用可能なアプリケーション名とバージョンおよび実務経験年数を文章で具体的に記述します。ＡｄｏｂｅＣｒｅａｔｉｖｅＣｌｏｕｄのＩｌｌｕｓｔｒａｔｏｒやＰｈｏｔｏｓｈｏｐおよびＩｎＤｅｓｉｇｎは必須としてＰｒｅｍｉｅｒｅＰｒｏやＡｆｔｅｒＥｆｆｅｃｔｓなどの動画編集ソフトの使用経験があればプラスアルファのスキルとして記述します。またＷｅｂデザインの経験がある場合はＦｉｇｍａやＸＤの使用スキルについても触れます。ＯＳ環境についてはＭａｃとＷｉｎｄｏｗｓのどちらを使用していたかを明記し入稿データの作成経験や印刷工程の知識があることも忘れずにアピールします。

自己PRで伝えるべきヒアリング能力とスピード感

自己ＰＲではポートフォリオだけでは伝わりにくい仕事への取り組み姿勢やコミュニケーション能力を記述します。デザイナーはクライアントやディレクターの意図を汲み取る力が求められるためヒアリング能力を強調します。記述例としてはデザインの着手前に詳細なヒアリングを行い背景にある課題やターゲット層を明確にすることで修正回数の少ない精度の高い提案を心がけていますと書きます。またスピード感についても触れます。限られた納期の中でクオリティを維持するためにショートカットキーの活用やアクション機能による自動化を行い作業効率を高めていますといった記述は現場で重宝される実務能力の証明となります。

ポートフォリオとの連携と書類提出時のマナー

職務経歴書には必ずポートフォリオへのリンクや参照情報を記載し採用担当者がスムーズに作品を確認できるように配慮します。Ｗｅｂポートフォリオを持っている場合はＵＲＬとアクセスパスワードを職務経歴書の上部または下部に分かりやすく記載します。紙のポートフォリオを持参する場合やＰＤＦで送付する場合もその旨を記載しておくと親切です。また職務経歴書自体のレイアウトもデザイナーとしてのセンスが問われる部分です。読みやすさを最優先にしつつフォント選びや余白の取り方で美しく整った書類を作成します。過度な装飾は避けあくまでビジネス文書としての品格を保ちながらあなたのデザインスキルと実務経験が企業の即戦力となることをアピールしてください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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