職務経歴書に「デザイン」は必要か?一般職とクリエイター職で異なる“正解”のフォーマット
「職務経歴書 フォーマット デザイン」と検索すると、カラフルなテンプレートや、雑誌のようにレイアウトされたおしゃれなフォーマットがたくさん出てきます。しかし、これらを安易に使うのは危険です。
なぜなら、ビジネス文書における「良いデザイン」とは、「装飾が美しいこと」ではなく**「情報が整理されており、読みやすいこと」**だからです。
ここでは、あなたの志望職種に合わせて、どのようなデザイン戦略を取るべきかを解説します。
1. 一般職(営業・事務・企画など)の場合
結論から言えば、一般職の職務経歴書において凝ったデザインや過度な装飾は不要です。むしろマイナス評価になるリスクすらあります。
【なぜシンプルイズベストなのか】
採用担当者は短時間で多くの書類に目を通します。独自性の強すぎるレイアウトは、「どこに何が書いてあるか探すのが大変」というストレスを与えてしまいます。また、ビジネス文書としてのTPOをわきまえていない(公私混同している)と判断される恐れもあります。
【目指すべきデザイン】
- 「Word(ワード)」の標準フォーマットを使用する。
- 余白や行間を適切に取り、**「黒一色」または「見出しのみ濃い青やグレー」**を使う程度に留める。
- 「おしゃれさ」ではなく**「論理構成(見出しの階層)」**の美しさで勝負する。
2. クリエイティブ職(デザイナー・Web・ディレクター)の場合
デザイナー職であっても、職務経歴書自体を「作品」のように装飾しすぎるのは考えものです。
【ポートフォリオとの役割分担】
クリエイターの実力は、別途提出する「ポートフォリオ(作品集)」で判断されます。職務経歴書はあくまで「実務経験のスペック」を確認する書類です。
職務経歴書までグラフィカルにしすぎると、「情報の優先順位がつけられない人」「ビジネスライティングが苦手な人」と思われる可能性があります。
【目指すべきデザイン】
- **「タイポグラフィ(文字組)」**でセンスを見せる。派手な色や画像は使わず、フォント選び、文字詰め、グリッドシステム(配置)の美しさで、「細部まで気の利くデザイナーであること」をアピールします。
- 作成ツール:IllustratorやInDesignで作っても構いませんが、最終的には必ずPDF化し、テキスト選択ができる状態にしておきます。
- ポートフォリオへの導線:氏名やヘッダー部分に、ポートフォリオサイトへのリンクを目立つように配置します。
3. 全職種共通:「読みやすさ」を劇的に変える4つのデザイン鉄則
どの職種であっても、以下のルールを守るだけで、書類のグレードは一気に上がります。これこそが、採用担当者が求めている「正しいデザイン」です。
① フォント(書体)の統一
- 基本:Windowsなら「メイリオ」か「游ゴシック」、Macなら「ヒラギノ角ゴ」など、視認性の高いゴシック体を使います。
- NG:MS明朝などの明朝体は、長文だと読みづらいうえ、少し古臭い印象を与えることがあります。また、ポップ体などの装飾フォントは論外です。
② 「余白」は情報の呼吸
- 紙面いっぱいに文字を詰め込むのはNGです。
- 上下左右に20mm〜25mm程度の余白を確保してください。
- 行間も詰めすぎず、Wordの設定で「1.1倍〜1.2倍」程度に広げると、プロフェッショナルな余裕が生まれます。
③ 「ジャンプ率」で視線を誘導する
- 「見出し」と「本文」の文字サイズの差をジャンプ率と言います。
- 見出しを大きく(例:14pt・太字)、本文を標準(例:10.5pt)に設定し、メリハリをつけます。これにより、採用担当者は「職務要約」「活かせるスキル」「経歴」といったセクションを瞬時に把握できます。
④ 色は「1色」まで
- 基本は黒(ダークグレー)です。
- もし色を使うなら、見出しやラインに「ネイビー」や「濃いグレー」などの落ち着いた色を1色だけ使います。赤や黄色などの警告色は避けましょう。
4. 市販やWEB上の「おしゃれテンプレート」を使う際の注意点
Canva(キャンバ)などのデザインツールには、非常におしゃれな履歴書・職務経歴書のテンプレートがあります。
これらを使う場合は、以下の点に注意してください。
- JIS規格や日本の慣習とかけ離れていないか海外製のテンプレートは、写真がなかったり、項目の並び順が日本企業向けでなかったりします。
- 印刷した時の視認性背景に色が敷いてあるデザインは、企業のプリンターで白黒印刷された際に、文字が潰れて読めなくなることがあります。必ず「白地に黒文字」を選んでください。
まとめ:デザインは「中身」を届けるための手段
「職務経歴書 フォーマット デザイン」で検索する意欲は素晴らしいです。それは「相手にどう見えるか」を意識している証拠だからです。
しかし、主役はあくまで「あなたの経歴」です。
デザインは、その経歴をスムーズに相手の頭に入れるための「黒子」に徹する必要があります。一般職ならWordで整然と、クリエイターなら文字組で洗練さを。それぞれの職種に合った「機能美」を追求したフォーマットで、書類選考を突破してください。





