大学職員の職務経歴書は「調整力」と「事務スキル」で決まる。採用担当者が評価するフォーマットと書き方の鉄則
安定した人気を誇り、高倍率となることが多い「大学職員」の転職市場。しかし、その業務内容はイメージ以上に多岐にわたり、民間企業とは異なる特有のスキルセットが求められます。「教育に関わりたい」という熱意だけでは、数百倍とも言われる書類選考を突破することはできません。
大学の採用担当者(人事課や理事)が見ているのは、あなたが「教員・学生・保護者という多様なステークホルダーの間に入り、円滑に業務を回せるか」という実務能力です。ここでは、大学職員への転職を成功させるために選ぶべき最適なフォーマットと、民間経験を高く評価させるための書き方のポイントについて解説します。
大学職員に最適なのは「逆編年体式」の標準フォーマット
大学職員の職務経歴書において、奇抜なデザインや個性的なレイアウトは不要です。大学という組織の性質上、最も好まれるのは**「堅実さ」と「読みやすさ」**です。
形式は「逆編年体式」を選ぶ
直近の経歴から過去へと遡る形式を選びます。大学職員の中途採用では、即戦力としての「事務処理能力」や「折衝能力」が重視されるため、直近の実績が最初に目に入るこの形式がベストです。
作成ツールは「Word」一択
大学では、シラバス作成、補助金申請、議事録作成など、膨大な文書作成業務が発生します。そのため、職務経歴書は必ず**Word(ワード)**で作成してください。見出しやインデント(字下げ)がきれいに整えられた書類を作成すること自体が、職員として必須の「文書作成スキル」の証明になります。
採用担当者が必ずチェックする3つの「職員スペック」
「事務全般」と書くだけでは不十分です。大学職員の業務は、教務、入試、就職支援、経理、広報など部署によって全く異なります。採用担当者は、あなたがどの部署でも活躍できる「基礎体力」があるかを以下の3点で判断します。
1. 高いPCスキルと事務処理能力
大学の事務作業は量が多く、正確性が求められます。
- Excel:VLOOKUP関数、ピボットテーブルを用いたデータ集計(学生データやアンケート集計などで多用します)。
- Word:差し込み印刷、長文の報告書作成スキル。
- PowerPoint:オープンキャンパスやガイダンスでのプレゼン資料作成スキル。
- Access:データベース管理の経験があれば尚可。
2. 多様な相手との「調整力・折衝力」
大学職員は「教員(先生)」と「学生(顧客)」の間に立つ仕事です。
- 民間企業での経験:「利害関係の異なる部署間での調整経験」や「顧客からのクレーム対応経験」は、大学での教員対応や保護者対応にそのまま活かせると評価されます。
- 対人スキル:「丁寧な言葉遣い」や「相手の立場に立った粘り強い交渉」ができることを具体例で示します。
3. 語学力(英語・中国語など)
大学のグローバル化に伴い、留学生対応や海外協定校とのやり取りが増えています。
- TOEICスコア(600点〜700点以上が目安となることが多い)だけでなく、「メールでの英文対応が可能」「窓口での英会話が可能」といった実務レベルを記載すると、配属の選択肢が広がるため有利になります。
民間経験を大学業務に「翻訳」するテクニック
多くの大学は、少子化による学生確保の厳しさから「経営視点」を持った民間出身者を求めています。前職の経験を大学の課題解決に結びつけてアピールしましょう。
- 営業職 → 「学生募集(入試広報)・キャリア支援」「顧客のニーズを汲み取る力」は、高校生への広報活動や、就職活動に悩む学生へのカウンセリング能力としてアピールできます。「目標数字に対する達成意欲」も、入試広報の現場では重宝されます。
- 企画・マーケティング職 → 「大学ブランディング・広報」「ターゲット分析に基づいた企画立案」は、オープンキャンパスの集客や、大学のブランド力向上施策に直結します。
- 金融・経理職 → 「財務・研究費管理」正確な金銭管理能力は、大学経営の要である財務部門や、複雑なルールが絡む「研究費(科研費など)の管理業務」において即戦力となります。
自己PRで伝えるべき「黒子」としての誇り
フォーマットの最後にある自己PR欄では、教育への熱意に加え、職員としてのスタンス(立ち位置)を理解していることを伝えます。
- 教員と学生を支える「支援力」「主役は学生と教員であり、自分はその環境を整える『縁の下の力持ち』として力を発揮したい」という謙虚かつ能動的な姿勢。
- 改善・改革マインド「前例踏襲にとらわれず、業務フローの見直しやコスト削減を提案できる」という改革意欲。大学は「前例主義」な部分も残っているため、そこを変えていける人材は魅力的です。
大学職員の職務経歴書は、あなたの「事務処理能力」と「対人調整力」をプレゼンテーションする書類です。
堅実で見やすいWordフォーマットを選び、民間企業で培ったスキルが「大学経営の課題解決」にどう役立つかを論理的に記述することで、高倍率の選考を突破してください。





