技術職の職務経歴書は「プロジェクト」で語れ。採用担当者が会いたくなるフォーマットと書き方
エンジニア、研究職、製造技術者など「技術職」の転職活動において、職務経歴書は単なる経歴の羅列ではありません。それはあなたの技術力を証明する「仕様書」であり、実績を展示する「ポートフォリオ」です。
一般的な事務職や営業職向けのフォーマットをそのまま使っていませんか? それでは、あなたの専門性や技術の深さが採用担当者に伝わりきらない可能性があります。ここでは、技術職の実力を余すことなく伝え、書類選考を突破するための最適なフォーマット選びと、書き方の鉄則について解説します。
技術職に最適なのは「キャリア式(プロジェクト形式)」
技術職の職務経歴書において、最も推奨されるのは**「キャリア式(プロジェクト形式)」**のフォーマットです。
一般的な「編年体式(入社・退社を時系列で書く形式)」では、どの会社にいたかは分かりますが、「具体的に何の技術を使って、何を作ったか」が見えにくくなります。技術職の採用担当者が知りたいのは、所属企業名よりも「携わったプロジェクトの中身」です。
【プロジェクト形式のメリット】
- 案件ごとに「使用ツール」「担当フェーズ」「成果」をセットで記述できる。
- 得意な技術分野や専門性をブロックごとに強調できる。
- 転職回数が多くても、スキルの一貫性をアピールしやすい。
採用担当者が必ずチェックする「3つの技術要件」
技術職の選考では、人事担当者だけでなく、現場のエンジニアや技術部長が書類を確認します。彼らは「即戦力として通用するか」を判断するために、以下の3点を必ずチェックしています。フォーマットにはこれらの項目を漏らさず盛り込んでください。
1. テクニカルスキル(使用ツール・環境)の棚卸し
プロジェクトごとに、使用した技術を詳細に記載します。単に名称を書くだけでなく、メーカー名やバージョンまで書くのが鉄則です。
- IT・Webエンジニア:言語(Java, Python等)、FW、OS、DB、クラウド(AWS等)、開発ツール(Git, Docker等)。バージョンも必須。
- 機械・電気設計:使用CAD(CATIA, SolidWorks, AutoCAD等)、解析ツール、測定機器、PLC、マイコン。
- 化学・研究職:分析機器(HPLC, GC-MS等)、合成手法、使用試薬。
- 建築・土木:施工管理ソフト、CAD、特殊工法。
これらをプロジェクト経歴とは別に、冒頭か末尾に「保有スキル一覧表」としてマトリクス形式でまとめると、スキルの全体像が一目で伝わります。
2. 具体的な担当工程(フェーズ)
「開発担当」とひとくくりにするのではなく、ものづくりの工程のどこを担ったかを明確にします。
- 上流工程:要件定義、仕様検討、基本設計、構想設計
- 中流工程:詳細設計、実装、プログラミング、試作
- 下流工程:テスト、評価、解析、運用保守、量産立ち上げ
自分が手を動かした範囲だけでなく、ベンダーコントロールや外注管理を行った場合も、マネジメント能力として記載します。
3. プロジェクトの規模と役割
技術的な難易度や責任の重さを伝えるために、「数字」を用います。
- 規模:プロジェクトの全体人数、期間、予算、生産台数、ユーザー数、PV数など。
- 役割:PM(プロジェクトマネージャー)、PL(リーダー)、メンバー。
- マネジメント人数:自分が指示を出していた部下や後輩の人数。
技術職ならではの「成果」の書き方
「良いものを作りました」という定性的なアピールに加え、ビジネス視点での成果(定量的な実績)を記載することで、評価は格段に上がります。
- コストダウン:「部品共通化により製造コストを15%削減」
- 効率化・短縮:「自動化ツールの導入により、テスト工数を月間20時間削減」「設計リードタイムを3日短縮」
- 品質向上:「不具合流出ゼロを2年間継続」「歩留まりを5%改善」
- 知的財産:「特許出願件数:〇件(特許番号xxxx)」
ファイル形式はWordかExcelか?
技術職の場合、スペック表の作成などでExcelを使い慣れている方が多いですが、職務経歴書は**「Word(ワード)」**で作成することをおすすめします。
理由は以下の通りです。
- 文章の可読性:職務要約や自己PRなど、文章で思いを伝える部分はWordの方が読みやすい。
- レイアウト崩れ防止:Excelは印刷範囲の設定が難しく、採用担当者が印刷した際にレイアウトが崩れるリスクがある。
- 汎用性:多くの企業がWord形式を標準としている。
ただし、ご自身のポートフォリオとして「技術経歴書(スキルシート)」を別途添付する場合は、一覧性に優れたExcelを使用しても問題ありません。メインの職務経歴書はWord、詳細なスキルリストはExcel、という使い分けも有効です。
自己PRで伝えるべき「技術へのスタンス」
フォーマットの最後にある自己PR欄では、技術力以外の「エンジニアとしての姿勢」を伝えます。
- 技術のキャッチアップ業務外での学習、資格取得、技術ブログ(Qiita/Zenn)での発信、GitHubでの活動など、能動的に技術を学ぶ姿勢。
- 課題解決力技術を使ってどのような課題を解決したか。技術選定の根拠や、トラブルシューティングのプロセス。
- コミュニケーション他部署(営業、製造、企画など)との折衝や、専門用語を使わずに仕様を説明する工夫など。
技術職の職務経歴書は、あなたの「技術カタログ」です。
プロジェクト単位で詳細を記述できるフォーマットを選び、環境・工程・成果を具体的に記載することで、採用担当者に「この技術を持った人が欲しい」と思わせる書類を作成してください。





