マネジメント経験を武器にする。職務経歴書の職務要約の書き方と階層別例文集
30代以上の転職やキャリアアップを目指す転職において、採用担当者が職務経歴書で最も注目するのが「マネジメント経験」です。しかし、職務要約において単に「課長をしていました」や「リーダーとしてチームをまとめました」と書くだけでは、その実力は伝わりません。マネジメントと一言で言っても、数名のチームリーダーから数十名の組織長まで、その役割と責任の範囲は大きく異なるからです。ここでは、マネジメント経験を具体的なスキルとして言語化し、書類選考を通過するための職務要約の書き方のポイントと、役職や階層に合わせた具体的な例文を紹介します。
採用担当者がマネジメント経験の要約で確認したい3つの視点
管理職やリーダー候補の採用において、企業は「自社の組織規模や課題感にマッチするか」を見ています。職務要約では以下の3点を明確にし、再現性のあるマネジメント能力を証明する必要があります。
- 管理の規模と範囲部下は何名いたか、雇用形態(正社員、派遣、アルバイト)はどうか、管理していた予算規模はいくらか。これらを数字で示すことで、組織を動かす規模感を伝えます。
- マネジメントのスタイルと関わり方プレイングマネージャーとして自らも数字を追っていたのか、あるいは専任の管理職として組織戦略や人事評価、採用に注力していたのか。自身の立ち位置と、部下育成や組織運営にどう関わっていたかを明確にします。
- 組織課題の解決実績「離職率を下げた」「チームの残業時間を削減した」「生産性を向上させた」など、組織が抱えていた課題に対してどのような施策を打ち、どう改善したかという実績は、リーダーシップを証明する強力な武器になります。
職務要約ですべきマネジメント実績の構成テクニック
職務要約の適切な文字数は200文字から300文字程度です。以下の要素を盛り込むことで、読み手にとってあなたのマネジメント能力が具体的にイメージできる要約になります。
- キャリアの概要:経験年数、業種、最終役職。
- 組織の規模:部下の人数、チーム構成。
- 実績と手法:組織課題への取り組み、数値成果、育成実績。
【部長・課長クラス】組織改革と収益責任をアピールする例文
管理職としての経験が豊富な場合は、プレイヤーとしての実績よりも、組織全体の戦略立案や収益管理、組織風土の改革といった視座の高さをアピールします。
例文
ITソリューション企業にて10年間、営業職および管理職として従事してまいりました。
直近の4年間は営業部長として、部下30名(課長3名を含む)のマネジメントおよび部門予算の管理を担当しました。組織の課題であった「属人化の解消」を目指し、SFA(営業支援システム)の導入とナレッジ共有の仕組み化を主導しました。その結果、チーム全体の成約率が向上し、部門売上を昨対比120パーセントに拡大させました。また、若手社員の定着率向上にも取り組み、離職率を15パーセントから5パーセントへ改善しました。これまでの組織運営経験を活かし、貴社の事業拡大に貢献したいと考えています。
【チームリーダー・主任】プレイングマネジメントをアピールする例文
プレイングマネージャーの場合は、個人の目標達成能力と、チーム全体の底上げや後輩指導を両立してきたバランス感覚をアピールします。
例文
専門商社にて6年間、法人営業として勤務し、直近の2年間はチームリーダーとして5名のメンバーマネジメントと自身の営業活動を兼務してまいりました。
プレイングマネージャーとして個人目標を連続達成しつつ、メンバーの同行営業や案件管理を徹底しました。特に新人育成に注力し、独自の営業マニュアルを作成してロープレを実施することで、配属1年目の社員全員を目標達成に導きました。チーム一丸となって成果を出す体制づくりを得意としており、貴社においてもプレイヤーとしての行動力とリーダーシップの双方を発揮して貢献します。
【店舗責任者・店長】ヒト・モノ・カネの管理をアピールする例文
店長経験者の場合は、売上管理だけでなく、スタッフ(アルバイト含む)の採用・教育、在庫管理、利益管理など、経営者に近い視点での店舗運営能力をアピールします。
例文
大手飲食チェーンにて8年間勤務し、店長として月商1500万円規模の店舗運営およびスタッフ40名のマネジメントに従事してまいりました。
売上目標の達成に向けた販促企画の立案に加え、人件費と食材原価の適正化(FLコスト管理)を徹底し、利益率を前年比で3ポイント改善しました。また、スタッフの定着率向上のため、評価制度の明確化や定期面談を実施し、アルバイトリーダーの育成に成功しました。これにより、社員不在時でも円滑に回る店舗体制を構築しました。これまでの店舗マネジメント経験を活かし、貴社のスーパーバイザーとして複数店舗の統括に貢献したいと考えています。
【プロジェクトマネージャー】推進力と調整力をアピールする例文
特定のプロジェクトを率いた経験がある場合は、期間、予算、関わった人数に加え、社内外のステークホルダーとの調整力やトラブル解決能力をアピールします。
例文
システムインテグレーターにて7年間、金融系システムの開発に従事し、直近の3年間はプロジェクトマネージャーとして10名から20名規模のプロジェクトを統括してまいりました。
要件定義からリリースまでの進捗管理、品質管理、予算管理を一貫して担当しました。要件変更が多発する厳しいプロジェクトにおいても、クライアントとの折衝やパートナー企業との調整を迅速に行い、納期遅延ゼロで完遂しました。また、メンバーの負荷状況を常に可視化し、適切な人員配置を行うことでプロジェクトの健全化を図りました。この「推進力」と「調整力」を活かし、貴社のプロジェクト成功に尽力します。
マネジメント経験の要約を書く際の注意点
マネジメント経験の職務要約を書く際によくある失敗として、単に「マネジメントを行いました」という事実だけの記載になってしまうことが挙げられます。採用担当者が知りたいのは「どのようなマネジメントスタイルか」です。「背中で見せるタイプ」なのか「仕組みで解決するタイプ」なのか、あるいは「対話を重視するタイプ」なのかが伝わるエピソード(育成手法や改善事例)を盛り込むことで、あなたというリーダーの人物像を明確に伝えてください。





